【現役先生・管理職向け】使っていい?保育で使うキャラクター著作権の「なぜ?」を解明!

保育

こんにちは!はち先生です。

「キャラクターNG」の保育園や幼稚園はありますよね。「なぜ?」と思うことはありませんか?

例えば、代表的なのはぬりえ。こんなことを聞いたことはありませんか?

「キャラクターのぬりえは著作権に引っかかるよ」

ぬりえは子どもたちが大好きですし、室内遊びでもちょこっと遊びの時にも大活躍しますよね。保育園・幼稚園や学童保育でも大活躍のぬりえは、コピーしておいてストックしたいもの!

しかし、法に触れるようなことはしたくないし、子どもたちのために安全にぬりえを楽しみたい!

現場の先生たちや管理職の先生たちのために、「なぜキャラクターものはダメなのか」、「著作権の何がいけないのか」を解明していきます!

これで、あなたも安心して子どもたちのために保育でキャラクターを使えるようになりますよ!

それでは、どうぞ!

はち先生
はち先生

この記事はこんな人にオススメです。

  • 保育士
  • 幼稚園教諭
  • 管理職の先生
  • 園長先生

保育に潜む著作権・・・

実は、劇もルールを守らないと著作権に引っかかるって知ってました?

「はらぺこあおむし」を劇の題材にする先生も多いですね。子どもが大好きな絵本ですし、劇の題材としても活用しやすい絵本ですが、著作権法のルールを守って利用しなければいけません。

また、ストックしておきたい「ぬりえ」も利用の仕方を間違えると大変なことになります。

デジタル化、ネットワーク化が急速に進んだために、誰もが著作物を作成し、流通できるようになった現代では、保育者・教育者も「著作権法」を知らないと思わぬところで足元をすくわれるかもしれません。

「子どものために!」「子どもが好きだから」と、当たり前に保育に取り入れているキャラクターですが、利用するには著作権法を知り、上手に活用することが求められます。

キャラクター等を現場で使う場面はたくさんありますよね。例えば↓

  • ぬりえ
  • 学習プリント
  • 壁面
  • 運動会
  • 発表会

著作権を避けるために、キャラクターの使用なし!全てオリジナルでやってます!という園もあるかもしれませんが、ほとんどの園ではアンパンマンやサンリオ、ディズニー、アニメ、絵本などの著作物を日常から活用しています。

なぜセーフなのか、どこからがアウトなのかを一緒に探っていきましょう。

①著作権を解明!

著作権とは、『「著作物」を創作した者(「著作者」)に与えられる、自分が創作した著作物を無断でコピーされたり、インターネットで利用されない権利』(引用:公益社団法人著作権情報センター)です。

他人が著作物を利用したい時は、条件に従って許可を得る必要があります。

著作者と著作物、それを利用したい者を繋いでくれるのが、「著作憲法」です。この憲法は、著作者だけものではありません。その理由を次に説明します。

著作権制度の目的

第1条(目的)

 著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

(著作権法第1条)

つまり、著作者の権利を守り、利用者の利用を確保し、文化の発展のために利害の調整をしてくれるのが著作憲法です。

この法律のルールを守ること、理解することによって、自由にキャラクターものを利用することが可能になります。

著作者

著作者の権利は、他人が「無断で○○すること」を止めることができる権利です。

例えば、自分が丹精込めて作ったキャラクターを勝手に利用し他人が利益を得ていたり、手を加えて営利目的で使用されていたら、誰でも怒りますよね?それを仕事としている人からすると勝手に流用されるということは被害を被るわけです。

著作物とは

著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」であり「文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」を指します。

実際に表現されたものである必要があるため,抽象的なアイデアは著作物に含まれません

著作物にはどのようなものがあるか↓

  • 小説,脚本,論文,講演その他の言語の著作物
  • 音楽の著作物
  • 舞踊または無言劇の著作物
  • 絵画,版画,彫刻その他の美術の著作物
  • 建築の著作物
  • 地図または学術的な図面,図表,模型その他の図形の著作物
  • 写真の著作物
  • 映画の著作物
  • プログラムの著作物

著作物ではない例↓

  • 事実の伝達,事件の報道(単なる歴史的事実やデータなど)思想やアイデアそのもの
  • 他人の表現の模倣
  • ありふれた表現,定石的表現,短い文章(題名や名称など)一切の人間の関与なく完全に機械によって作成されたもの(スピード写真など)

このため、「著作物」の使用には、複製、上演、演奏、公衆送信などの利用の都度、著作権が及ぶことを私たちは理解しなければいけません。

保育現場などで関係するのは、ぬりえのコピーなどの「複製」、発表会などの上演・演奏が当てはまります。

②著作物が自由に使える場合がある

著作物等を利用するときは、必ず著作権者等の許諾を受けて、必要であれば使用料を支払わなければなりませんが、一定の「例外的」な場合に著作権等を制限して、著作権者等に許諾を得ることなく利用することができます(著作権法第30条〜第47条の8)。
 

関係するのは第35条!

保育者や教育者が現場でキャラクターを使用できるのかどうかは、下記の第35条が関係してきます。↓

これは、文化庁から教育現場のために、「教育活動と著作権」という別紙が出ているくらい、私たちに向けて定められている法律です。教育活動のための利用につき、条件を満たしていれば自由に利用してもいいですよと定められているものなのです。

【学校その他の教育機関における複製等】(第 35 条第1項・第2項)
学校・公民館などの教育機関において、教師や児童生徒等が授業の過程で使用するため に、必要と認められる範囲で他人の著作物等を複製、公衆送信、公に伝達する場合の例外で す。例えば、以下のような行為が該当します。 ・教師や学習者がインターネット上の著作物をダウンロードして授業で配布する ・教師が児童生徒に対して対面授業の予習・復習用の資料をメールで送信する ・オンデマンド配信授業やスタジオ型のリアルタイム配信授業において、講義映像や資料を
学習者に限定した上でインターネット送信する ・動画投稿サイト上の著作物をパソコンのディスプレイ等を用いて生徒等に視聴させる ・授業参観で来校した保護者に児童生徒に配布した資料(著作物)と同じものを配布する ・小学校の運動会の様子を(会場で使用される音楽を消さずに)保護者など限られた相手に
限定してリアルタイムで配信する
【条件】
1 営利を目的としない教育機関であること
2 授業等を担当する教師等やその授業等を受ける児童生徒等が複製、公衆送信、公に伝達
すること(指示に従って作業してくれる人に頼むことは可能)
3 授業のためにその著作物を使用すること
4 必要な限度内の使用であること
5 すでに公表されている著作物を使用すること
6 著作物の種類・用途・複製の部数・複製等の態様などから判断して、著作権者の利益を
不当に害しないこと(著作物の全部を複製する行為や、ドリルなど児童生徒等が購入す
ることを想定して販売されているものやソフトウェアなどを複製する場合等は対象外)

7 慣行があるときは「出所の明示」(前頁(注)参照)が必要
※ 翻訳、編曲、変形又は翻案も可
※ 公衆送信行為を行う場合(第 35 条第 3 項の行為は除く)には、教育機関の設置者は、
文化庁長官が指定する指定管理団体(授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS:サートラス))に補償金を支払う必要があります。
なお、補償金の支払いに当たっては、事前にサートラスへの登録手続が必要です。詳細については、SARTRAS のウェブサイト(https://sartras.or.jp/)を参照ください。
【参考】補償金額(年間包括料金の場合) <児童生徒学生等 1 人当たり年額>
小学校 120 円、中学校 180 円、高等学校 420 円、大学 720 円など ※上記金額に別途消費税が加算されます。公衆送信の回数は無制限です。

著作憲法第35条

注目ポイントは、「条件」です。上記から抜き出します。↓

  1. 営利を目的としない教育機関であること
  2. 授業等を担当する教師等やその授業等を受ける児童生徒等が複製、公衆送信、公に伝達すること(指示に従って作業してくれる人に頼むことは可能)
  3. 授業のためにその著作物を使用すること
  4. 必要な限度内の使用であること
  5. すでに公表されている著作物を使用する
  6. 著作物の種類・用途・複製の部数・複製等の態様などから判断して、著作権者の利益を不当に害しないこと(著作物の全部を複製する行為や、ドリルなど児童生徒等が購入することを想定して販売されているものやソフトウェアなどを複製する場合等は対象外)
  7. 慣行があるときは「出所の明示」(前頁(注)参照)が必要

「学校」「教育機関」などの言葉で表されているので、保育施設は該当するのか気になりますよね。

先ほど、お話しした文化庁から出ている「令和5年度改訂版 学校における教育活動と著作権」という教材があります。これは、視覚的にわかりやすく、現場の先生たちのために作られた、著作物を自由に利用できる場合がまとめられた資料です。管理職の先生や、教材を作る先生、子どもたちのためにイラストやキャラクターを活用したい先生はぜひ、チェックしてみてください。

保育園・幼稚園・学童保育でもキャラクターが使える!

話を戻しますが、「令和5年度改訂版 学校における教育活動と著作権」によると、「非営利目的で設置された教育機関」の該当例に、保育所・認定子ども園・学童保育・幼稚園が該当しています。

そして、著作物を自由に利用できる場合の確認手順は次の通りです↓

  1. 非営利目的で設置された教育機関に該当するか
  2. 「授業」での利用か
  3. 利用者は「教育を担任する者」や「授業を受ける者」か

非該当例も記載されているため、必ず確認しましょう。

気をつけて欲しいことは、上記の例外規定の適用を受けて複製物を作成した場合であっても、その複製物を目的外に使用することは決して許されないということです。

完全アウトの例

そして「営利目的で使用するは絶対にアウトです。

「営利」とは、反復継続して、その著作物の利用行為自体から直接的に利益を得る場合又はその行為が間接的に利益に具体的に寄与していると認められる場合を言います。

発表会などで著作権のあるキャラクターなどを扱って演じることはOKとされていますが、このような行為は条例に反しているとなります。

  • 観客から鑑賞のための料金を取っている
  • 演者に報酬を与えている
  • 著作物の題名、著作者などの出所の明示をしていない

保育施設や教育機関での発表会等は営利目的で開催することはないと思うので問題ないと思いますが、アニメや絵本を題材にする場合は、「著作物の題名」「著作者名」「出版社名」などの出所の明示をしましょう。

③保育で使ってもいい?

結論「ルールを守れば利用できる」

色々と小難しい話も出てきましたが、結果から申し上げると、「ルールを守れば利用できる」ということになります。

小学校ではタブレットを使った授業も導入されてきているため、教育現場で完全にキャラクター等の著作物を使わないということは難しいです。今までも運動会やフェスティバル等の行事で児童が看板作りで漫画やアニメのキャラクターを描いたりすることはありましたが、公に問題にはされてきませんでした。それは、著作権制度の目的が著作者の権利を守り、利用者の利用を確保し、文化の発展のために利害の調整をしてくれることであり、教育現場で利用することは「教育効果を高める上で必要である」と考えられてきたからです。

そのための第35条が定められているわけでもあるので、利用する際は、この記事の②著作物が自由に使える場合があるを必ず確認し、非該当していないか細心の注意を払いましょう。

保育現場等での具体的な場面

  1. 劇などは、「著作物の題名」「著作者名」「出版社名」の明示や営利目的でないこと、報酬が支払われていないなどの条件をクリアしていれば絵本やキャラクターを題材として扱うことはできます。
  2. 壁面等などは、複製になるため、原則、著作者の許諾が必要になります。似たような例だと、小学校の運動会でプラカードや看板に人気の漫画やキャラクターを描くことが挙げられます。それは、授業の過程で教師や児童、生徒が複製するため、第35条が適用され無断で利用できることがあります。しかし、学校行事の教育効果を高める上で必要である場合です。常設的に展示するような場合であれば、無断で利用できる条件を満たさない可能があります。そのため、保育現場等でキャラクターを壁面に使うことはグレーだと考えます。
  3. 塗り絵になると、現場で使う時はコピー(複製)、そして複製物の「譲渡」になるため、これも原則、著作者の許諾を得なければいけません。本来なら、塗り絵をしたい人が購入して使用しなければいけないためです。コピーはNGだから手書きはOKということはありません。手書きもNGです。

教育現場での利用OKとされている理由は、「教育効果を高める上で必要」であるかという視点でした。保育現場等に置き換えると、「子どもの育ちに必要かどうか」という視点になると思います。そして、施設や園の保育方針などとも相互に考えていかなければいけないと考えます。

まとめ

保育で使うキャラクター著作権の「なぜ?」を解明!まとめはこちら↓

  • 原則、無断で著作物を利用するのはアウト。
  • 無断利用は、著作者の権利、利益を不当に害することになるため。
  • しかし、教育関係や保育施設等の非営利機関では利用できる場合がある(第35条)
  • ルールを守り、その範疇で利用する。

もっと詳しく知りたい先生、現場で活用したい先生は文化庁で出している資料を参考にしてください。

保育現場、教育現場が安全にキャラクターを活用するために、この記事が貢献できたら嬉しいです!

参考文献はこちら↓

⚪︎著作権テキスト -令和5年度版- 文化庁

⚪︎令和5年度改訂版 学校における教育活動と著作権 文化庁

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