【保育者・保護者向け】発熱の受け入れ判断を解説!

保育

こんにちは!はち先生です。

保育施設で発熱と判断される体温は37.5℃です。この37.5℃で保護者も保育者も悩まされた経験があると思います。

それはこんな理由です。

  • 登園前に測ったら37.5℃だった!預けていいの?
  • 受け入れ後、測ったら37.5℃だった。体調は悪くないみたいだけど、お迎えを呼んだ方がいい?

私も、新人だった頃に毎日のように保護者に熱の連絡をしていました。時には、「現在の熱と様子を伝えますね。引き続き様子を見ていきます」と伝えることも多かったです。

37.5℃だから発熱!連絡しなきゃ!迎えを要請しなきゃ!ということにはならない時もあります。

今回は、病児保育スペシャリストの資格をもつ私が、最新の厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」(2018年改訂版2021年8月一部改訂)を参考にして、発熱の受け入れ判断に焦点を置いて解説します。

それでは、どうぞ!

はち先生
はち先生

この記事はこんな人にオススメです。

  • 保育士・幼稚園教諭
  • お子さんを預けている保護者
  • 保育学生
  • 保育園等の運営者

なぜ37.5度なのか

感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)に基づく「医師及び指定届出期間の管理者が都道府県知事に届ける基準」での定義が37.5度です。

  • 発熱:体温が37.5度以上ある状態
  • 高熱:体温が38.0度以上ある状態

発熱について

急な発熱の場合、原因として考えられるのは、細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入することによる「感染症」体が発熱すると、体内に侵入した細菌やウイルスを弱らせたり、増殖を抑えたりすることができます。そのため、感染症に対する発熱は、体を守るための正常な反応です。

発熱は難度から?熱が出る原因・熱が出た際の対処について

引用:サントリーウエルネスOnline

乳児・小児の発熱について基礎知識

  • 発熱は感染との戦いで不可欠な役割を担っている。
  • 発熱の原因は、急性か急性反復性/周期性か慢性かによって異なる。
  • 乳児及び幼児で急性発熱のほとんどは感染症によるもの。頻度が高いのは①ウイルス性の呼吸器又は消化器感染症②特定の細菌感染症(中耳炎・肺炎・尿路感染症)

乳児と小児の発熱

引用:MSDマニュアル 家庭版

【シーン別】発熱の対応

シーン別で発熱時の対応を解説します。

受け入れ時に保護者から熱の報告があった

保護者
保護者

昨日の夜、38℃の熱が出たんです。

受け入れ時に、保護者からこのような申し出があった場合は次のように質問してください。

はち先生
はち先生

「朝の様子と検温時の熱を教えてください。」

  • 元気や機嫌はどうか
  • 食欲はどうか
  • 水分は取れているか
  • 全身症状はあるか
  • 発熱時に解熱剤を使用したか

はち先生の質問項目に対して保護者が、

保護者
保護者

  • 朝も37.5℃の発熱があった
  • 元気がない・機嫌が悪い
  • 食欲がない
  • 食事・水分が取れていない
  • 発疹が出ている(全身症状の例)
  • 解熱剤を使用している

このように答えた場合、いつもと様子が違うため、お子さんは体調不良の可能性があります。感染症の場合、他の子に移してしまう可能性やその後体調が悪化することも考え、登園は控えた方が良いでしょう。

乳児さんの場合は、特に注意して、日々の体調や保護者との情報共有からよく検討し、対応方法を話し合いましょう。なぜなら、保育園の場合は「食事が摂れない・水分が摂れない」なると、1日預かるのはその子にとってとても辛い状況になるからです。保育園では市販のゼリーや乳児用飲料水などは用意されていません。アレルギー等の問題があるからです。また、乳幼児は熱性けいれんを起こす可能性もあるため、発熱時は注意が必要です。

保育者と保護者は、熱性けいれんの発症や重篤になる可能性も考え、十分に検討し、対応方法を相談することが必要です。

保育中に発熱した

はち先生
はち先生

午睡明けに検温したら38℃だった!

よくあるシーンですね。幼稚園でも起こり得ます。「食事をしている時にボーッとしていたから測ったら37.5℃以上の熱だった」など。

お迎えを要請した方がいい?様子を見る?こんなときの対応について説明します。

保護者に連絡した方が良い場合

  • 38℃以上の発熱がある
  • 元気がなく機嫌が悪い
  • 咳が出ている・咳で眠れていない
  • 排尿回数がいつもより少ない
  • 食欲がない・水分が摂れない
  • 熱性けいれんの既往歴がある※医師の指示に従う

まずは第一に行うことは、上司に報告です。この後予想されるのは、急な体調の悪化や熱性けいれん、嘔吐などです。1人では対応できない事態になることもありますし、緊急事態に繋がることにもなります。いつもと違う熱が高い(37.5℃以上)のであれば、気づいた時点でクラスの先生や上司に報告しましょう。

子どもの体調は一見してわからないこともあります。保護者は「うちでは熱が出ても元気なんですよ」って言うかもしれません。しかし、保育者は子どもを預かるプロであるため、子どもの不利益になるようなことはしない責任があります。事態を悪化させないためにも、日々の記録と子どもの様子を現在の体調不良と照らし合わせ検討する必要があります。

ここで一つ、私の体験談ですが、1歳児クラス担任の時、複数担任なので熱の共有をしていました。午前に熱が高めの子を時間を置いて再度測りましょうと言っていました。自分も忘れないように、他の人にも伝えようとしていました。しかし、検温しようと言っていた時間を過ぎてしまっていました。その時は、感染症の疑いなどはなかったので、日々の保育の中で少し気になるので再度測りましょうで済みましたが、感染症の疑いがある場合はもちろん忘れる前に上司に報告します。

人間なのでミスはありますが、同じミスを続けてしまうと重大事故に繋がってしまいます。そうなる前に改善が必要で、自分もクラスの先生も忘れてしまうなら、上司に報告するか、目のつく場所にホワイトボードを設置して記録をとる癖をつけることで改善できます。

ミスが重なりどうにかしたいと思っている人はこの記事を参考にしてください。

0〜1歳の発熱の特徴を知ろう

年齢が小さい子は体温調整機能が未熟なので大人が環境を整えてあげる必要があります。このことは保育施設・家庭でも同じなので、室温や着衣、水分補給などに気をつけましょう。

それでは特徴です。

  • 0〜1歳は、外気温・室温・湿度・厚着・水分不足等による影響を受けやすいため、体温が簡単に上昇する。
  • 咳や鼻水などの風邪にみられる症状がなければ、水分補給を十分に行い、涼しい環境に知ることで、熱が下がることがある。
  • 0歳児が入園後初めて発熱した場合には、突発性発疹の可能性もある。熱性けいれんを起こす必要がある。
  • 発熱がある、機嫌が悪いなどの様子とともに、耳をよく触る様子がみられる時は、中耳炎の可能性もある

引用:保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)厚生労働省

適切な環境を作ろう

午睡チェック表に以下のようなチェックも含めている園もあるのでないでしょうか。私が立ち上げた院内保育所の午睡チェック表には、午睡時に意識して環境を整えられるように記載していました。

  • 室温:(夏)26〜28℃、(冬)20〜23℃
  • 湿度:高め
  • 換気:1時間に1回
  • 外気温との差:2〜5℃

乳幼児突然死症候群の発生予防にもあるため、今一度環境を見直しましょう。

具体的なケアと保護者の迎えが来るまでの対応

具体的なケアと保護者の迎えが来るまでの対応はこちらです。

保育所における感染症対策ガイドライン (2018 年改訂版)

引用:厚生労働省 2018(平成 30)年 3 月 (2021(令和 3)年 8 月一部改訂)

発熱時も含め、夏や冬など感染症が流行る時期なども別室での保育が感染を広げないための対策になります。その他、水分補給や検温もこまめに行い、記録をとって、保護者が迎えにきた時に報告しましょう。その後、病院に行く場合もあるため、保護者が園での様子を伝えるためにも記録をとってお伝えしましょう。

ポイントは感染を最小に抑えるということです。ウイルスは空気感染や接触感染をすることを理解し、感染経路を断つ行動を意識します。例えば、空気感染を最小にするために、使った部屋は消毒して換気をしておきましょう。接触感染を最小にするために、複数名の先生が出入りするのではなく、看護師さんや決まった先生が出入りするなどの工夫が考えられます。子どもが使ったおもちゃも消毒し、水分補給に使ったコップも次亜塩素酸ナトリウム等の園で使っている消毒液に漬けるなどをして、感染が広がらない工夫が必要です。

個別の判断が必要

最後に重要なことですが、発熱時の体温は、あくまでも目安です。

5年くらい前までは、保育現場では「発熱=37.5℃→連絡」という意識が広がっていましたが、現在(2023年)は厚生労働省の保健衛生マニュアルの改訂や様々な感染症が流行した経緯もあり、すぐに「発熱=37.5℃→連絡」という流れにはなりません。

クラスの子ども一人ひとりの平熱をよく知ること、個々の平熱に応じて個別の判断が必要になります。

そのためには日々の記録がとても重要になるでしょう。検温の記録含め、体調変化など細やかな記録が判断材料となります。子どもを守ることにも繋がりますし、保護者との信頼関係構築や情報共有にもなります。

日誌に書ききれなければ、ホワイトボードを設置したり、発熱用の記録用紙を作成するのも工夫です。

まとめ

発熱時の受け入れ判断のまとめはこちら↓

  • 37.5度は、感染症法に基づいた発熱の基準
  • 受け入れ時に保護者から申し出があった場合は詳しいヒアリングをする
  • 保育中に発熱があった場合は、上司に報告し、感染を広げない努力をする
  • 0〜1歳の発熱は環境の調整をし、常に体調管理に気を使う。
  • お迎えを待つまでは、安静にして過ごし、後処理もきちんと行う

発熱や感染症の判断として、今回は厚生労働省から出ているガイドラインを参考にして解説しました。

保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)

引用:厚生労働省(2021年8月一部改訂https://www.mhlw.go.jp/content/000859676.pdf

このガイドラインは、私が院内保育所の立ち上げの際に保健衛生マニュアルを作成したときにも参考にさせていただきました。これから保育所の運営者になる方、新しい知識を取り入れたい方、知識をアップデート支えたい方にもオススメします。

保育施設内にはお医者さんは居ません。看護師さんがいますが、園でできることは応急処置のみです。

発熱は、保護者にとっても保育者にとっても不安になるものです。しかし、互いに正しく判断をして、情報共有することで迅速に対応することができるでしょう。

お子様が発熱した時、受け入れやお迎え要請に迷った時に、ぜひ参考してみてください。

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